everything's gone green

現行のクラブカルチャーに中指を立て続ける

※このエントリは、自分好みのジャンルがフィーチャーされない僻みと捉えてもらって結構です。

 

昨年の今頃、私はこんなツイートをしました。

 

 

一年経った今、このツイートに託した願いは脆くも崩れ去ってしまったな、という気持ちを抱いています。

 

 日本のアンダーグラウンドミュージックカルチャーってのは、どうしてこう、「地上」へと這い上がろうとしてしまうのか。

 

Vaporwaveというジャンルは、人によって様々な解釈がなされる音楽ジャンルであり、アートであるわけで、そこには「快楽」もあるし「毒々しさ」もある、そんな玉石混淆なカオスを私自身愉しんでいました。

だから、そんなカオティックな潮流を日本発で巻き起こしてくれる、そんな期待を持って動向を注視していました。

実際、レーベルの1stリリースである『メガドライブ』の内容に、その期待を背負う気概を垣間見れたような気がしていました。

 

local-visions.bandcamp.com

 

しかし、その後は、vaporwaveから総ての毒気を抜いた、シティポップ寄りのリリースが続き、

結局、今ではあまり追わなくなってしまいました。

 

勿論、毒気を抜いた、ただ快楽を追い求め続けるようなサウンドもvaporwaveの一つの解釈ではあるとは思うんですが、それだけではないだろう、と突っ込んでしまう。

結局は、それを見抜けず、勝手に期待していた私が莫迦だったというだけなのだろうけど。

 

ただ、この「毒気を抜く」「快楽を追い求める」、その方向性に、このレーベルは本気だ、本気で地下から地上に這い上がろうとしているんだ、とも感じます。

自分たちがのし上がっていく過程で、汚点となる「毒気」は極力排除していく。

このご時世、清廉潔白な音楽しか、地上では生き残れないから。

 

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こういう流れを、私は10年前くらいに見た覚えがあります。

 

当時の私は、テクノ四天王(死語もいいところ)や友人に借りたwarpセカンド・サマー・オブ・ラブ周辺の音楽を駆け足で通過しながら、ミニマルテクノハードテクノハードミニマル)にたどり着いて、クラブに行き始めていた頃でした。

これが、かの有名な「生涯ハードテクノ宣言」をしていた頃です。

 

当時のクラブカルチャーといえば、マルチネを筆頭にネットレーベル全盛期。

猫も杓子も関連パーティに行きます!みたいな状態でした。

私はその風潮が嫌いだったのですが、まあ物は試しで何回か遊びには行きました。

テクノで外タレが来ても踊るスペースがあったフロアが、身動きの取れない状態。

真っ黒なフロアは満艦飾の彩りへ変貌していました。勢いあるなあ、と思いつつも、なんとなく醒めた気分になってしまう自分がいました。

 

そんな「ムーブメント」も、上位ヒエラルキーの面々がメジャーレーベルに参画したり、EDMフェスに名を連ねたりして収束していく様を見ていると、「結局そこに行き着くんかよ!」と怒りのような呆れのような心持ちになってしまいます。

勿論、界隈の中でもアンダーグラウンドに残り続けて独創的に音楽やったり、若手フックアップしたりしている人たちもいるけど、結局おでん屋を始める。

 

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根底には、クラブカルチャーで飯を食べていけないという問題もあるけど、

単純に多くの人に聞いてもらいたいという気持ちの発展なのかなとも思います。

それで薄っぺらなな音楽を作るようになってしまうのは何とも悲しいことなんだけど。

でもそれがvaporwaveの真髄であったりして。なんとも皮肉なことか。