everything's gone green

セカイ系世界

いつから、この世界はフィクションみたいになってしまったんだろうと思う時がある。

 

90年前後生まれのカースト低めのアニメオタクにとって、セカイ系は消し去ることのできない傷痕のように脳裏に刻み込まれているものと思う。

セカイ系の説明についてはWikipediaを参照していただくものとして、その退廃的な世界観、そしてそこで繰り広げられるティーンエイジ・ロマンス、あるときは滅亡、またあるときは救済……そういうものに魅了され、今なお求め続けるセカイ系ジャンキーは多いと聞く(聞かない)

 

そして今、この世界で起きているCOVID-19にまつわる様々な事象は、まさにセカイ系そのものなのではないか、と思ってしまう。

地球規模のウイルス汚染、外出禁止によりゾンビ化した街、オリンピックの中止(または延期)、世界的な経済危機。まだ世界戦争が起きていないだけマシか。

そのどれもが、自分とは関わりのないところで起き、終わっていくんじゃないかという、傍観者のような立場で見てしまう節がある。

いくらウイルスで感染者が出ようが、やはりバイクで転倒した時のアバラの痛みの方がより現実的に感じられるのだ。

 

ウイルスで著名人が亡くなろうが、どこかの旅館が廃業しようが、たった数十キロ先の街の地下街が廃墟のように閑散としてようが、画面越しの情報に主体性を抱くことなんてできない。

911だって、311だって、映像を見たときはショックではあったけれど、どこか異世界の出来事なんじゃないかと思ってしまう。

それこそセカイ系の登場人物が、世界の終末でも普通に生活しているように。

なんとなくセカイ系の端役になりきって世界を傍観してしまうのだ。